昨日6月29日(日)、大変光栄なことに、グロービス経営大学院の『あすか会議リーダーズディスカッション』に、昨年に続き2年連続で登壇させていただきました。このような貴重な機会をくださったグロービスの皆様、そして情熱をもって企画・運営してくださった小西貴子さんをはじめとする関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

私に与えられたセッションのタイトルは、「2025年今、地方が熱い!『何もない!?』島根からの挑戦」。 まさに、私が日々現場で感じている課題意識と情熱を映し出すようなテーマでした。
なぜ、医師が地方創生を語るのか
「医者なのに、なぜ地域づくりを?」と不思議に思われるかもしれません。

私の原点は、単に病気を治すだけでなく、目の前の患者さんが暮らす家族、そして地域全体の健康を守りたいという「総合診療医」としての想いにあります。 そして、私が活動の拠点とする島根は、日本のどこよりも早いスピードで高齢化が進み、医療資源や地域の担い手が不足している、まさに課題先進地域です。

しかし、私にとってこの「危機感」は、絶望ではなく、「この地で誰もが“楽しく死ねる”未来を作りたい」という情熱の源泉になっています。 医療だけでは解決できない複雑な課題に、多様な人々と共に挑む。その合言葉が、今回ご紹介いただいた私のモットー「闘魂」です。🔥

協働のリアルと、未来への処方箋
私の活動は、一人では決して成り立ちません。 行政、地域コミュニティ、医療・介護の現場スタッフ、そして未来を担う学生たち。 そうした多様なパートナーと共に、「こうすべきだ」と指示するのではなく、「一緒に何ができるか」を考え、対話を重ねることを何よりも大切にしています。

「現場は変化を嫌う」のではなく、「どう変われば良いかわからない」という不安が根底にある。 だからこそ、小さな成功体験を共有し、専門性を越えた敬意を払い、対話の場を設定することが、皆の「やらされ感」を「当事者意識(自分ごと)」に変える薬になると信じています。

グロービスで得た学びは、この複雑な課題を構造化し、多様なステークホルダーを巻き込みながら解決への道筋を描くための、私にとっての強力な「思考のOS」です。

今回の講演で、私は未来への処方箋として3つのキーワードを提示させていただきました。
- 課題認識:医療の課題は、地域の課題そのものであると捉えること。
- 協働:信頼と対話を、多様な人々を巻き込む鍵とすること。
- 未来志向:次世代を「教える」対象ではなく、「共に未来を考えるパートナー」として、学び続ける文化を創ること。

これから始まる「リアルMEET」
セッション後のグループディスカッションや質疑応答では、参加者の皆さんから非常に熱量の高い意見や質問をいただき、私自身が最も多くの学びとエネルギーをいただきました。
そして、この熱量を一度きりで終わらせないための「ミッション」も発表されました。まずは7月5日-6日に水戸で開催される「あすか会議」でのリアルな集合。 そして2025年秋には、実際に島根にお越しいただくツアーも企画されています。
「何もない」と言われる場所にこそ、未来を切り拓くヒントと、温かい繋がりがあります。
今回のディスカッションが、参加された皆さんにとって、ご自身の地域で未来への処方箋を描く、何かのきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。 そして、これから始まるリアルな繋がりに、心からワクワクしています。
