皆さんこんにちは。島根大学の坂口公太です。今回は、HMEPセミナーでレクチャーをさせていただきました。

今回のセッションのテーマは、「The Compass of General Medicine: Education, Leadership, and a Place to Belong(総合診療の羅針盤:教育、リーダーシップ、そして居場所)」でした。

約90名という非常に多くの方にご参加いただきましたが、私が目指したのは一方的なレクチャーではありません。冒頭で「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊りゃな損々!(If you're a fool either way, you might as well dance! 💃)」と呼びかけた通り、互いを尊重し、笑顔で傾聴し合う「対話(Dialogue)」を通じたセッションを心がけました。

救急外来は「地域の窓」である

私自身のキャリアは、和歌山、沖縄、そして島根と、日本の地域医療の最前線を渡り歩いてきた道のりです。

セッションの前半では、私の原点である沖縄・中頭病院での初期研修時代のエピソードを共有しました。月に8回の当直をこなす中で見えてきたのは、病気そのものだけでなく、その背景にある貧困や社会的孤立といった「健康格差(社会的決定要因:SDOH)」でした。

「問題のさらに上流にあるものは何か?」——この救急外来での気づきが、後にMBA(経営学)やPhD(医学博士)という形で、臨床以外の視点を取り入れる大きな原動力になっています。

会場に伝えたかった2つのメッセージ

後半のディスカッションに向けて、これからのキャリアを考える皆さんに、2つの強いメッセージをお伝えしました。

  • Message 1: あなたの「独自性(Uniqueness)」を大切に 「王道のキャリア」だけが唯一の正解ではありません。皆さんの興味、情熱、そして原体験こそが、他の誰にも真似できない未来を創ります。
  • Message 2: 「Rural(へき地)」をチャンスに変える 「地方にいるからグローバルなキャリアは描けない」というのは大きな誤解です。むしろ、リソースの限られたRuralだからこそ直面する独自の課題があり、そこでしか生まれないイノベーションがあります。

先日訪れたシンガポールでの経験からも、私たちが日本の地域医療で実践している教育やシステム構築は、世界で通用する普遍的な価値を持っていると確信しています。

バーンアウトを防ぐ「Spirituality」の視点

また、今回はリーダーシップだけでなく、医師自身の「メンタルヘルス」や「バーンアウトの予防」についても触れました。

激務の中で自分を支えるものは何か?(What sustains our health?) 医学的な知識や技術だけでなく、自分自身の内面(Inner world)と向き合い、拠り所となる「Spirituality」や「信念」を言語化しておくことの重要性についても、皆さんと深く語り合うことができました。

次の挑戦へ:Bridge in Asia

90名の熱気ある参加者の皆さんとの対話を通じて、私自身も多くの刺激とエネルギーをいただきました。「日本の医療システムとアジアの架け橋(Bridge in Asia)」となり、RuralからGlobalなイノベーションを起こすという私の究極の目標に向けて、さらにギアを上げていこうと決意を新たにしました。

ご参加いただいた皆様、そして素晴らしい場を提供してくださったHMEP関係者の皆様、本当にありがとうございました!

これからも、日本の医療現場に学びを還元すべく、総合診療の実践と研究を続けていきます。皆さんのこれからの挑戦も、心から応援しています!